会長挨拶

人と人をつなぎ、育み合う組織へ

 熊本県医療ソーシャルワーカー協会のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。当協会は、1963年7月に結成された歴史あるソーシャルワーカーの職能団体です。一般的に、保健医療領域におけるソーシャルワーカーは、医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれ、病院や診療所、介護老人保健施設、精神障害者社会復帰施設などの保健医療機関に配置されています。当協会は、保健医療領域に限らず、行政や地域包括支援センター、社会福祉協議会などの福祉に携わる機関に属している方もおられ、約400名の会員で成り立っています。
 当協会は、2017年4月に一般社団法人の法人格を取得しました。法人格を取得するということは、組織が社会的信頼を得られる利点がある一方で、責任の所在も明確になるということです。すなわち、法人格を取得するということは、当協会が社会的に広く認知され、信頼される職能団体に成り得るよう、諸活動を継続していくことが求められているということだと考えます。

 近年の医療ソーシャルワーカーの役割の傾向として、2008年の診療報酬改定による退院調整加算に社会福祉士の配置が位置づけられたことを端緒に、医療ソーシャルワーカーの業務が退院援助に関する割合が増大しています。また、医療ソーシャルワーカーは地域連携に関する部門に所属する割合が高くなっています。つまり、地域の関係機関との連携体制の構築が医療ソーシャルワーカーの役割として期待されているといえるでしょう。その一方で、傷病をもったときに人々が抱える心理社会的な課題は多様であり、近年意思決定支援やアドバンス・ケア・プランニングへの医療ソーシャルワーカーの関与の必要性が高まってきています。医療ソーシャルワーカーがクライエントの意思を尊重し、その自己実現に向けて、チーム医療の中で福祉的な視点から参画し続けることに意義があると思います。
 私たち医療ソーシャルワーカーはこれまで疾病の影響による生活課題や困難を抱える人びとを支援の対象にし、その生活課題の解消・緩和・解決に向けて取り組んできました。しかしながら、人びとの生活課題を抱える問題は多様でかつ高度化してきています。迫りくる2025年問題に対応していくためにも、その地域の実情に応じた地域包括ケアシステムへの構築に医療ソーシャルワーカーがどのように寄与していくのかが問われています。所属機関内に留まる支援ばかりではなく、人びとの福祉ニーズの予防に努めるよう、医療ソーシャルワーカーが地域で躍動している姿を期待したいと思います。
 熊本地震や豪雨による球磨川氾濫の災害では、多くの人びとの生活を脅かし、今でも生活の再建を必要としています。また、新型コロナウイルス感染症では、日々の営みを感染症予防に則った生活様式に変えざるおえない状況になっています。医療ソーシャルワーカーは、この生活様式に即した業務を早期に確立し、活動や発信力を通して人と人との繋がりを築きあげる連携や支援のあり方が求められているものと考えます。

 最後になりますが、私は歴代の会長が積み上げてきたことを大切にし、理事とともに当協会の充実と発展させるべく努めてまいりたいと思います。皆さまのご協力のほど、宜しくお願い致します。

令和3年7月1日
一般社団法人 熊本県医療ソーシャルワーカー協会
会長 久保 茂樹

協会事務局

熊本県熊本市西区島崎2丁目22−15 青磁野リハビリテーション病院 総合連携室